私は大人になっても言いにくい言葉がある
学生時代、言いにくい言葉があって苦労しました。言えないわけじゃないんです。とっさの状況だと言えないんです。学生時代の社会の時間を、今でも思い出します。「東南アジア諸国連合の略語は」と先生に当てられ、答えを知っていながら「ASEAN (アセアン)」が口から出てこなかった自分。もしどもったらどうしよう。バカにされるんじゃないか。そこには、わからないふりをして逃げた自分がいました。
そんな私には、いまだに言いにくい言葉がたくさんあります。以前と比べていろいろ工夫をし、スキルを身につけましたが、それでも言いにくい言葉は突然やってきます。今でこそ、言いにくい言葉を言うとき、一呼吸置く(目がぱちぱちしたり口がぱくついたりしているかもしれませんが)というスキルを身に着けて、言いにくい言葉もかなり言えるようになりました。でも、それも大人になってからです。
以前はいろいろ言い換えていた
言いにくい言葉はとにかく言い換えていました。大学時代の接客業のアルバイトの時の話です。お客様が来店された際、「靴はこちらの下駄箱にお入れください」の「靴(くつ)」が急に言えなくなりだして。とっさに思い付いたのは「履物(はきもの)」でした。今でこそいい思い出ですが、当時は本当に必死。
そんな私が大人になって
大人になった今、実は「失礼致します」が、とっさだと言えない。特に、超目上の方に呼ばれたとき。とにかく緊張する場面、失敗しちゃいけない場面。言いにくい、じゃなくて言えない(もしくは連発性でどもる)。「失礼します」は楽勝なのに。超目上の方の場合、やっぱり「失礼致します」でいきたい。けど、言えない。
このように、「言いにくい言葉を言うとき、一呼吸置く」スキルが、緊張のあまり使えないとき。敬語としては間違っていても、言えないよりはマシだと思い、クッション言葉を使う。「すいません、失礼致します」と言う。これならいける。こんな毎日の繰り返しですが、場数を踏むにつれて、一呼吸置いていうことができるようになってきました。
とにかく場数を踏む・語彙を増やす
仕事では「言えない」は仕事にならず、話にならないです。そうならないために重要なのは大きく2つあります。場数を踏む、語彙を増やす、です。場数を踏むとある程度は慣れで緊張を抑えらるようになります。すると、上でも書いてます「言いにくい言葉を言うとき、一呼吸置く」スキルが使えるようになり、なんとかその場を乗り切ることができます。
あとは語彙を増やすこと。仕事をしているとわかりますが、ビジネスでは「敬語」がめちゃくちゃ大事です。今の会社は一部の方を除いてフラットとはいえ、「敬語」ができることは常識であり、最低限の評価につながります。ただ敬語は上の「失礼致します」を含めて、言いにくい言葉も多いんですよね。なので、とっさに敬語に変換できないと、よけいに焦ってどもりそうになり、言葉が出てこないこともあります。
とりあえず、言いにくい敬語でも、そうでなくても、言いたいことを敬語に変換するスキルは身につけましょう。そして、敬語を覚えるだけでなく、上と同じで場数も踏みましょう。そうすることで、言いにくい敬語が言えるようになることも多いです。以前はつっかえそうだった敬語が、いつのまにかルーチンのように当たり前のようにスッと出てくるようになることもあります。
学生時代を振り返って、今思えること
学生時代は、私が苦手とする「語頭が○行で始まる単語」と当たった瞬間に、「言えない、どもる、どうしよう・・」と死にそうになっていた自分がいました。そんな悩みを持つ方はあなただけではなく、大勢います。私もそのうちの1人でした。当時は本当に人知れず悩み、苦しみ、精神的に病むこともありました。
今思えば、もっとはやく吃音を受け入れていれば、個性だと思うことができれば、もっと早く変わっていたのだと思います。例えば、学生時代だと先生に相談する、仲のいい友人に打ち明ける、吃音だということを知ってもらい、ハンデだと思わないようにする。結局、吃音だと打ち明けても、バカにする人なんていないんですよ(小学校時代を除く)。
今でも私はまだ人の目線を気にする部分はありますが、意外とというか、本当に、他人って自分以外の人のことを見ていないものです。気にしないものです。私は過去、笑い声を聞いて、自身のことが笑われていると気にしすぎていたことがありましたが、ほぼ100%違います。私はそうでしたが、ただ自分が自意識過剰すぎただけだったのです。
若い方は特に授業など人が集まる場所で、1人自分だけがしゃべる場面で、どもってしまうという恐怖感があると思います。私もそうだったのでわかります。でも、結局、気にしている人は自分だけなんです。そうだとわかっていても、いまだに気にしてしまう私ですが、吃音を受け入れてはじめて変われると思います。