大人の吃音症な私が薬への依存をお勧めしない理由

薬への依存はお勧めしません

吃音症をなんとかしようとして「パキシル」を勧める方がおられるかもしれませんが、ちょっと待ってください。飲む量が増えていく、やめるときが本当につらい、結果的に辞めたら何も変わらない、です。以前、パキシルに依存していた私が言いますが、お勧めできません。一時的に症状は改善しますが、結果的に止めたとき自分自身にたいして何もいいことはありません。

吃音症で精神的に病んでいたとき

吃音症に大いに悩んでいた大学時代。グループディスカッションも辛かったですが、100人を超える人の前でプレゼンをするという授業が嫌すぎて。吃音症に悩み、人とうまく話せないことに悩み、そんな大学へ行けなくなりそうなとき、学校のカウンセラーの勧めで、私は初めて心療内科へ行くことがありました。というのも、私の大学には学生に対するアドバイザーのような心理カウンセラーがおり、藁にもすがる思いで相談したのでした。

吃音症を克服すべく心療内科へ

心理カウンセラーの勧めもあり、生まれて初めて心療内科へ行きました。今でも通っている(別の心療内科ですが)ので、もう10年以上通っていることになります。大学時代、学校近くの心療内科で簡単なカウンセリングと、薬を処方してもらいました。カウンセリングはとても簡単なもので、長い待ち時間にたいして数分だけ話を聞いて薬を大量に処方されました。以後、同じような形で何度も通い、徐々に薬が増えていき、薬に依存するようになっていきました。

心療内科へ通ってどうなったか

結果的に、吃音というコンプレックスが薄れました。あくまで私のケースですが「パキシル」という薬が効いたと思われます。これを服用している間は今までにないくらい饒舌になり、「吃音の調子が悪い(連発、難発が続く)ときはパキシルに頼ろう」という意識があったほどです。おかげで再び大学に通うことができるようになり、プレゼンの練習を繰り返したこともあってプレゼンも乗り切り、卒業することができました。

パキシルと心療内科、その後

ただ私の中で完全にこの「パキシル」に頼り、依存するようになっていきました。その量も次第に少ない量では効果を実感できなくなり、徐々に処方される量が増えていきました。このあたりは心療内科の先生の方針によるところだと思いますが、私が過去によくないと感じた心療内科の場合は、待ち時間が長いわりにカウンセリングが短く、症状が悪くなれば薬の量を増やす、といった傾向があることに気が付き、よくないと思い始めていました。ただ、もう大量のパキシルを止められない状況になっていました。

パキシルの減薬治療

このままではいけない、と思いパキシルの減薬を始めましたが、パキシルの減薬は地獄のようにつらい日々でした。というのも、人によって離脱症状(減らした時に起こる身体の不調)が異なると思いますが、私の場合はとにかく「ひどいめまい・吐き気」が強く、調子が悪い時はまっすぐ歩けないほどでした。もちろん、吃音症のによる連発、難発もひどくなるので、本当につらかったです。

パキシルを飲まなくてもよくなったとき

数か月間、めまいや吐き気などに襲われておりましたが、ふとした日からパキシルを飲まなくてもめまいなどが起きなくなりました。吃音症については「ふりだしに戻る」形ではありましたが、薬を断ち切ることができた、私の中ではとても大きな一歩となりました。ただその間は本当に何もできないくらい、精神的にもよくない時期でもありました。

心療内科と今

今も心療内科へ通っています。当時からずっと眠りが浅いので、そのときからもらっている睡眠薬と、とんぷくで飲むような形で気分安定薬を処方してもらっています。どちらも最低量で1錠だけ。それでも、なんとかなっています。結果的に、一時しのぎで薬に頼るよりは、自身の意識を変えて吃音症と付き合っていくことが大事なのだと思います。吃音症を受け入れるか、克服するかの考え方は別として。心療内科の選び方はまた別の機会に。