ビジネス書というよりは国語の教科書に近い
仕事中によく「メールが長い」、「メールの内容がわかりづらい」と言われていたため、文章力を鍛えようと思い、3年前に購入した本書。3年越しに読了したので簡単にレビューです。
内容としては、「これを読んだからすぐに文章力が上がる特効薬」というビジネス書というよりは、国語の文法の教科書に近いイメージです。最後の方には、文章力を高めるには「鍛錬(何度も繰り返すこと)」が必要とも表記があります。
つまり、一朝一夕で文章力は身につかないということです。良い文章を書くためには、文章の推敲(すいこう)が必要であり、そのための方法がいくつも紹介されています。
また、本書を読むテンポとしてはテンポよく読める感じではないです。「悪い例→良い例」とその解説の繰り返しでわかりやすいのですが、同じ繰り返しが続くので読んでいて少し退屈になる場面もありました。
わかりやすい文章とは
「文というものは様々な”要素”の組み合わせであり、いかに相手にわかりやすい文するか」という部分にフォーカスを当て、読みやすい文章を書く技術を、合計100つ紹介しています。
個人的な解釈ですが、「相手にわかりやすい文=自分の伝えたいことと文を読んだ相手の認識が合致すること」であり、極端に言うと「誰が読んでも同じ認識になる文」を書ける技術です。
例えば、心当たりがありませんか?
ビジネスではメールを打つことが多いと思います(私は営業さんではないので、もっぱら「文章を書く=メール」です)が、下記に心当たりがないですか。
- メールが無駄に長いと言われる
- 何が言いたいのかわからないと言われる
- メールによって相手と自分の認識に相違が生まれたことがある
上記の指摘を受けた方にとっては、文章をよくするために実践で使えるテクニックが豊富に書かれています。読み手を意識した文章を書けるようになりますよ。
メールが長いと言われる方にもオススメ
ベストセラーの書籍に共通することは「1文が短いこと(例外はあるでしょうが)」だそうです。1文が短いと読みやすく、わかりやすい文章であるということ。とにかく、1文を短くするように心がけます。
簡単な例で挙げると、「調査を行う→調査する」や、「まず最初に→最初に」など、要素ごとに短くできる部分の積み重ねで1文を短くしていきます。その短くなった1文がいくつもあれば、まとめてみると全体的にメールが短くなりますよね。
他にも「接続助詞(~ので、等)」を減らすことで、延々と続く文章を短く分けてわかりやすくする技術なんかも。他にも、私が苦手としている「不要な言葉・余計な情報をつける」癖を無くす技術も、心掛けていきたいです。
Webライティングでも活用できる
メール(1対1)だけでなく、多くの方に向けて発信するWebライティングにも活用できそうな技術も紹介されています。
文章の構成のテンプレート(「全体部→細部」の順序で書く)であったり、見出しや目次の有効な使い方についても記載があります。いかにして、自身の強調したい文章を目立たせるかが見えてきます。
本を執筆したい方にも向いている
本書の最後の12技術では、本を執筆される方向けの技術も紹介されています。
「テーマを決める」部分から、アイデアが出ないときの材料集めの方法、読み手をイメージした文章の推敲(実際に読み手のイメージ近い人に読んでもらうなどの方法)について、書かれています。
ただこの技術は本の執筆だけでなく、幅広い方でも使える技術も多々あります。例えば、本の執筆について、文章の推敲には以下の4点がポイントとあります。
- 客観的に見返す
- 紙に印刷して見返す
- 音読して見返す
- 読み手をイメージして見返す
さすがにメールを送るたびに上の4点を全部実施するわけでにはいきませんが、メールの送信前にポイントについて見返すことはできますよね。「メール本文に前提がないから状況・意味が分からない」といったようなことに気づくかもしれません。
ただし、文章力には「鍛錬」が必要
上記にもあるとおり、文章力には「鍛錬」が必要です。自身で文章を書くことはもちろんですが、「良い文章に触れる」ことも大事。黙読するよりは音読する、できれば書き写すくらいがベスト。
また、他人に見てもらうこともオススメされています。他人に見せることで文章を書く意欲がわき、わからない部分があればフィードバックも受けられるためです。
まとめ
もともとは会社でメールの書き方に指摘を受けていたため購入した本書ですが、幅広く使える技術がたくさん載っています。私の場合、メールはもちろんですがグループウェアの案内文章など、いろいろ使えそうです。
一気にすべての技術を活用することは難しいでしょうが、意識して何度も文章を書くことで文章力も上がるのではないでしょうか。
読むだけでは文章力は変わりませんが、いろんな技術を使いまわし、慣れるまで繰り返すことで、そのサイクルでさらに文章力がどんどん向上していくのだと思います。